運命は時に残酷な仕打ちを与える。
わたしは耐える事が出来るのだろうかと、朧気に思う。
米年度代表馬フェイバリットトリックなどが焼死(netkeiba)
心の底から、愛していた。
だからこんな別れ方をするのが、恐かった。
運命の歯車が、音を立てて崩れていくのが見えたのだから…
わたしにとって運命を左右する出来事は、8年前に、遡る。
フェイバリットトリック。
夢の萌え馬、フォーントリックの後継だった。
衛星中継のブリーダーズカップで見た彼の姿は、眩しかった。
BCジュブナイルでの彼の姿…そして、圧倒的な強さ。
広い世界には
これほどまでに強い馬が居るのだと確信した瞬間だった。
ディープインパクトやアグネスタキオンにもなかった、
目がくらむような強いオーラが見えていた。
一筋の光は、未来へ続いていた。可能性は遥か彼方まで…
距離の壁…早熟…三冠への夢は費えたけれど、
わたしは彼を忘れなかった。
引退しても、いつまでも好きでいた。
種牡馬として成功しているかも解らないままに、
まだ夢はあると、信じていたから。
現2歳でアメリカの年度代表馬になった馬は、
セクレタリアトと、彼しかいない。
今はこのアクシデントを素直に受け止めるのが、怖いのです。
もう彼には逢えない。
こんな別れ方なんて、あまりにも酷すぎるのです。
日本にいる僅かな後継。牝馬は2頭しか、いない。
ハンナフレグランスは今でも現役だけど、
彼に似たならもう時期は過ぎる。
今すぐにでも、繁殖に入ってほしい。
本当はもう速攻で繁殖にあげて欲しい馬がいるのです。
ナイキフェイバー。
もう既に時期は過ぎた。夏まで待てない。
悔しさを積み重ねる前に
この馬に第2の道を勧めて欲しい…
どうしてこれほどまでにわたしがいうのか。
血統を調べてみれば、すぐにわかる。
父はフェイバリットトリックなのだが…
母の父がサラトガシックスだ!
同じ場所で、同じ時間に、星になった、馬なのだ。
これほどまでの悲しい偶然を見逃すことなどできない。
父の夢を繋げて欲しい。例えそれがほんの僅かでもいい。
もう少しだけ、彼の事を思う時間が、欲しいのです…。
すべての言葉はさよなら。